VHSの行方

先日テレビを変えたら、ブラウン管テレビともれなくビデオデッキもドナドナされてしまった。

映画が好きで録り貯めたVHSテープだけが大量に残った。中にはDVD化されていないものもあったりする。実家の捨て切れなくて、残してあった大量のベータのテープは、震災が瓦礫の一部にしてくれた。

残ったVHSテープでドミノ遊びに興ずることも考えたのだが、大して面白くも無いことに気づき、このタイミングでデータとして取り込もうと思った次第。とりあえず、ビデオデッキを出来るだけ安価、もしくはわらしべ長者手法、あわよくば無料で手に入れようなどと謀を巡らして、取り急ぎ、それらしい方々にそれとなく打診してみた。会社の先輩が、ゴムが伸びきったパンツみたいに捨てきれずにいると云うので、お願いした先週末のこと。

昨日、寒空の下、裸のままのビデオデッキを受け取った時点で、3ヶ月ほど貸したままのUSBメモリをあきらめることにした。帰宅して、電源を入れて確認した後、ヘッド清掃のためにとクリーニングテープを入れようと思ったら、先客が居る。ラベルに「あきら」とマッキーで走り書きがある、テープ量 3割ほど残ったカセットに挨拶した。

同性愛者でSM嗜好でスカトロマニアな 46歳独身男性会社員の先輩からの粋な計らい。

楽しみがひとつ増えた。

Case20120212-1007

彼女に友達から遊びの誘いの電話があった、日曜の朝。
歩いて行くには少しばかり遠い道程なので、車で送って行くことにした。
国道沿いではあるが、防潮堤で仕切られた河口部の海沿いでもある場所。
元々の住んでいた家は、その被害にあって、今は間借りしているらしい家の前に車を止めた。
彼女は助手席から足早に玄関先に姿を消した。
冠水注意の立て看板が、交差点の門でかたぴし風に揺れている。
風にのって波の音を耳にした。

ブーツを脱いで注釈を

冬はブーツに限る。

冬だからといって別にブーツでなくとも、鍋でも熱燗でもレザーでも裏起毛でもフリースでもデロンギでも酒粕でもミートテックでも、それと限定すればいいのだが、ちりぢりになって収集がつかなくなると予想(よそう)されるので、よそう。

と、まぁモニター越しに寒々とした空気が十分に伝わったであろうところで、ブーツの話である。

ブーツは若い時分から好きなのだが、年齢を増すごとにデザイン重視から、機能性や履きやすさと好みも変化している。少し前までは、存在感を示すようなそれなりの重さがなければブーツとして認めなかったのだが、最近だと出来るだけ軽いものを選ぶようになった (これは時計にもいえる事で少し前までは40mm以下の時計はすすんで選ばなかった)。

去年のこと。携帯電話がメール受信を知らせるので確認すると、洋服店を営む先輩から「ネイティブ各色入荷しました」という写メールだった。ちょうど気になっていたブーツであったが、ハーフサイズがないことから一度試着してみたいと思っていた。

結果、片足試着で即決。様々な色があるが、妥当ともいえる黒×白ソールを選択 。

0

比較的安価なので2、3足ぐらい色違いで揃えようかとも思っている。

履き心地が良くて軽いものだから、最近スキップを覚えた。

 

マイナーコードで韻を踏む

最近のNHK教育テレビはすごい。

朝 7:00から15分枠で放映している(今も放映しているかは不明なところだが)「シャキーン!」という番組がある。

「大人も楽しめる幼児向け教養バラエティー番組をコンセプトとしている。ターゲット層を小学校登校前の児童とし、朝起きたばかりの子供たちが頭と体を“シャキーン”とさせることからこの番組名が付けられた。」Wikipediaより)。

幼い頃に観ていた「カリキュラマシーン」ぽいと思っていたら、その世代のスタッフが製作しているようだ。

その番組中の挿入曲に「るるるの歌」という歌がある。

朝からこの歌を耳にしてしまうと、その日一日「るるる~」な日となってしまう。

昼頃をすぎたあたりには、途中から由紀さおりの「夜明けのスキャット」が入り交じり、ますます盛んな「るるる~」な日になる。

今日はそんな「るるる~」な日である。

爪先立ちの男

震災で半壊と化した実家の後片づけをしていた頃のこと。
被害が少なかった二階へ向かう階段の上りきった先には、更に階段が増えていた。
精も根も尽き果て、かろうじて壁にもたれている箪笥の、階段と化した引き出しに、そろり、慎重に足をかけ、壁づたいに上った。
箪笥の天板と天井のわずかな隙間に無理やり上半身をねじこませながら、「これでも若い頃は...」などと、云うことを聞かなくなった身体に毒づいてみた。箪笥がさえぎっていた向こうの状況を確認していると、天板の角でこらえ性のない腹筋がうめき声を洩らしはじめた。

箪笥と天井のわずかな隙間で、可能な限り身をよじって仰向けになりながら、引き出しにかけた両の足、左、右と順番に引き上げる。
左足の踵を天板の角に引っ掛けて、右足を引き上げようとしたら、つま先あたりからするり、足首になにかが引っかかった重みを感じた。
重みを感じたまま引き上げてみると、古びた革のストラップが引っかかっている。ストラップの先は引き出しの中で隠れていて見えない。
引き上げた右足首からストラップを外して、慎重に引っ張り上げてみたら、カメラの形をした革のケースに「OLYMPUS」の刻印。
はめた軍手をするりと外し、丁寧にスナップボタンを開くと「OM-1」の文字を目にした。

とりあえず箪笥が元あったであろう位置に動かし、あらためて引き出しの中を確認したならば、タテにレンズが二つ並んだカメラを発見。
「Rolleiflex」の文字を目にして、猫の額ほどの空間で思わず小躍りした。と、よくよく見直してみたならば、これ「RICOHFLEX」だったり。*1

写るかどうか、それ以前に写せるかどうか不安だったり、色々ばたばたしていたので、まだ確認していない。
年が明けてから、こうしてダイアリーやブログを書けるぐらいな状況になったので、暖かくなったらフィルムでも入れてみたいと思っている。
正直なところ、「稔る田」に少なからず刺激されたことは、否めない事実。

そして今日、「OM」シリーズのデジタル版「OM-D」が発表された。

*1:ジミーさん色々有難うございました

時計じかけの石橋蓮司

財布と携帯電話と時計は、私にとって外出する際、身につけるものの三種の神器的存在である。

ひとつでも欠けると、便意をもよおすほど、どきどきしてしまい物事に集中できない性分である。

とはいえ、財布と携帯電話は衣類のポケットに入れるわけだから、実際、直接身につけるものとしては時計だ。時計は大好きでキャッチ・アンド・リリースを繰り返している。

ストレスが溜めると、なぜだか物欲に走ってしまう傾向にある。ほしいものがないのに、ほしいものを探してしまう。とくに夜半、夢中で探しているときのほしいトリガーはモスキート級だ。翌日の午前中に注文確認メールなどで驚いてしまうことも度々ある。

昨年、色々と煮詰まり過ぎてた時期に、手を伸ばした先のマウスに助けを求めてクリックした時計がある。

J.CREWが TIMEXに別注した時計。

クオーツで100m防水。らしいのだが、リューズがねじ込み式じゃないので正直怪しい。とは言え、泳げない私にとっては問題は全然ない。 ケース外装には、アンティーク加工(キズ、くすみ)が施されていて、ベルトはNATOナイロンベルトが装着されている。換え用ベルトも色々と豊富みたい。ただ、文字盤プリントはちゃちいし、ムーブメントは平気で針ズレしたりする(外装は中国製、ムーブメントはフィリピン製らしい)。到着した現品を手にして、あまりの安っぽい感じに思わず後悔してしまった。

買ってしまった以上、後悔してもしょうがないと着けはじめたら、以外と着け心地が良かったりして、今じゃオンオフ問わずに一番身に着けているお気に入りの時計だったりする。