存在の耐えきれない暑さ

今年の夏の暑さときたら、むしろ熱いものだから、厚くはない作品ばかり読んだ。

屋上への誘惑 (光文社文庫)

屋上への誘惑 (光文社文庫)


哀しい予感 (角川文庫)

哀しい予感 (角川文庫)


幽霊たち (新潮文庫)

幽霊たち (新潮文庫)


おめでとう (新潮文庫)

おめでとう (新潮文庫)

「おめでとう」はまさに川上弘美的恋愛短編集で、あいかわらず、文章と云うか、日本語表現がとても美しい。
その一作目「いまだ覚めず」に以下のような文章がある。

十年たってみると、自分がいつかは死ぬことが十年前よりもはっきりわかってきて、箒でごみを掃きだすように、やり残したことやしそこねていたことをどんどんおこなってしまわなければもったいないという気分が強まったのである。(13p 抜粋)

ここ最近の私の気分がまさにこれであって、なんだかどきりとした。