寡黙な信号機

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電気復旧作業中の幹線道路上に立つ多くの信号機はいまだ眠ったままです。
交通量の多い場所には、警察官が立って交通整理を行っているらしいです。「らしい」というのは、九時五時できっちりと労働しているみたいなので、私は交通整理をしている彼らを見たことがありません。九時五時で交通整理。
しかしながら交通事故多発しているという話は聞きません。

震災直後の数日、すべての信号機は入社したてで緊張しきった新入社員のように反応しませんでした。また主な幹線道路は瓦礫が残っているため、通行止めの箇所が多々ありました。通行可能な道路の信号機あたりは、怒り暴走する赤い目をしたオームが連なるようにして渋滞が発生しました。しかし渋滞でながらも道を譲り合っている様子が見られました。道を譲るタイミングは、体が覚えている赤信号待ちの時間で行われているようでした。これは国民性によるものかと思いました。
しかしながら巡回先のお邪魔させていただいているブログで、東京都内で計画停電により交通事故が多発しているということを知り、単に地域性なのだと思いました。

この地域性についてですが、先日、会社に設置している自販機を管理している業者の方と立ち話をしたときの話題(こと)です。
壊滅的な被害を受けた沿岸南部付近では、(先の業者が)設置管理している大半の自販機は破壊され、中身(ジュース類、釣り銭など)は全て奪われていたそうです。津波の被害をまったく受けていない場所(ところ)に設置していた自販機も然り。
しかしながらこの辺り(私の住んでいる市内)では全くそのような被害は無いとのこと。

震災のため被害を受けたスーパーやパチンコ店から金庫が奪われたり、流されてしまった酒類を避難所に持ち込んで酒盛りしたり、配給物資を奪い合ったりなどの避難所でのトラブル、近隣市町村の話として聞きますが、私の住んでいる市(ところ)では一切耳にしません。気性の荒いと言われる漁師町ですが、それだけが救いです。
道を譲り合うのも、ごく限られた地域性なのだろうと思いました。