いたちごっこ

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"地球環境に配慮した企業・・・" などと表紙の一部に書かれた資料を、申し訳ないほどコピーした後、配布するためにまとめていたら、所々が赤く汚れていることに気づいた。
出所は右手中指の内側らしく、白い薄皮がひらひらしていて、その周辺はすでにばりばりした血がこびりついていた。口中で鉄さびの味を味わいながら、少し前の新聞記事を思い出した。

12月3日 読売新聞「編集手帳」 引用
【紙鼬】(かみいたち)とは何だろう。動物ではなくて、「紙を扱っているときに、刃物で切ったような鋭い切り傷がいつのまにかできる現象」を指す――といっても、辞書にある言葉ではない◆『明鏡国語辞典』を出版している大修館書店が国語辞典に載せたい言葉を全国の中高生から募った企画で、今年の最優秀作品に選ばれたうちの一つである◆作者は中学1年生というが、昔からある言葉「かまいたち」を踏まえたうえで、紙が生き物になってワルサをしたような、誰しも一度は味わったことがあるハッとする痛みの瞬間をうまく言い表している

あらためてうまいこと考えたもんだと感心しながら、ひらひらした薄皮を歯で剥ぎ取ったら、予想以上に痛くて、思わず鼻水が噴だしたことはここだけ話。

昔は "かまいたち" という妖怪より、『ガンバの冒険』のボスキャラ "ノロイ" というイタチの方が、トラウマになるぐらいに怖かったなと、絆創膏を貼ったところから、滲み出している血を見て舌打ちひとつ。

noroi