ハードボイルドなラブストーリー

(500)日のサマー [DVD]

(500)日のサマー [DVD]

ストーリー
建築家を夢見つつ、グリーティングカード会社で働くトムは、ある日、秘書として入社してきたキュートなサマーに一目惚れしてしまう。トムは運命の恋を夢見る男の子、一方サマーは真実の愛なんて信じない女の子だった……。好きな音楽をきっかけに意気投合し、いいムードになった二人。そんな中トムは、サマーに対して「彼氏はいるの?」と聞くと、サマーの答えはノーだった。恋愛と友情の間に果てしなく広がるグレーゾーン。人を好きになるって、どうしてこんなに楽しくて切ないんだろう。誰もがまた恋したくなる、二人の(500)日がはじまる!

珍しく『恋愛・ラブストーリー』というジャンル作品を結構前になりますが観ました。しかし『男性・失恋モノ』というジャンルがあれば、当然そこに置かれるはずの作品です。

赤い糸の存在を信じている主人公トム(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)と、赤い糸などはなから存在しないとしているヒロインのサマー(ズーイー・デシャネル)の話で、トム(男性)の視点でストーリーは進行します。

デートを重ね、唇を重ね、ベットを共にしても、サマーは "友達" だときっちり線引きします。トムは悩みもがき苦しみます。しかし結末を見る限りでは、サマーは密かに運命的な恋を信じていたのかもしれないと思いました。
これ以上、感想を書いてしまうと自身の恋愛感をさらけ出してしまいそうなので、このぐらいにしておきます。

本作を観終わった後、ちょっと思い出したことがありました。20年ぐらい前に発行された北方謙三のエッセイ集「男はハードボイルド」の一説。

ハードボイルドとは何か。タフでカッコいい男の生き方。一般にはそういわれる。しかし、俺のハードボイルドはちょっと違う。負けの美学。全力を賭けた結果の男の敗北は、恥ではない。男の誇りだ。敗北の味をいやというほどかみしめろ。そうすることで、“男はこうあるべきだ” という美学の獲得ができる。
男はセンチメンタル。女は過去を洗い流せるが、男は決して過去を断ち切れない。恋に敗れ、泥まみれになっても相手の女を忘れない。未練を捨てきれない男は、まさに女々しい (センチメンタル)。
その女々しさを、いかに固い殻で包み込んで生きられるか。それが男の存在感だ。負けて負けて負け抜いて、それでも “俺は男だ” と立ち上がれ。過去を、未練を捨てきれなくてもふり向くな。それが男のルール、男のハードボイルドな生き方だ

北方謙三の定義に基づくと「(500日)のサマー」は、立派な "ハードボイルド" 作品なのではないかと、無理やりな解釈をしました。
それと「(500日後)のサマー」という続編も是非観てみたいと思いました。

音楽も良い感じなのでサントラの購入を考えていたりします。

幾度目かの停学中に Smiths ばかり聴いてた頃を思い出しました。