消失点

2月9日の日経新聞(朝刊)の記事。「飛ばさぬ若者 死亡事故激減」。

「無謀なスピードで運転する若者による死亡交通事故が激減している。16〜24歳が運転した死亡事故で、最高速度違反(スピード違反)が主因になったケースは2009年で120件と10年前の5分の1以下の水準。09年に57年ぶりに5千人を下回った死亡数減少の一因となった。ゲームなどに熱中する「草食系」の運転は、交通安全にプラスになっているようだ。」
《原付バイクと自動車を運転中の16〜24歳による死亡交通事故》

問題のあるような書き方をした記事ですが、とても良いことだと思います。

若者の死亡事故に対して警鐘を鳴らし始めた頃は、社会が大きく変容することに対するストレス、家庭や学校からの抑圧への反発、成長していく上での社会への適合不安などの要因が、若者を暴走行為に向かわせた時代だったと思う。
少なからず現代の若者にとって先の要因は、幾分でも軽減されたということなのか。

「暴走族」を「珍走団」と、呼称を変えるイメージ戦略も功を奏したといえるのかもしれない。
ただ、「珍走団」も高年齢化が進んでいるようなので、25歳以上の死亡事故件数の推移が気になるところだ。

若者の自動車離れが深刻なものと考えてしまいがちだが、公共交通網が整備されていない地方では、移動手段が自動車に限られてしまうため、そうとは言い切れない部分もある。

そんなニュースを目にしながら、この間観た映画。

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5 どこまでもひたすら青い空は、それだけで絵になっています。
5 アフリカの背景そして文化の源流
5 昔々、映画館に途中から入ったら、いきなり最後の激突シーンだった・・・・
4 カークラッシュの派手な娯楽系映画かと思いきや・・・
4 カーアクションとは別物

車の陸送屋コワルスキー(バリー・ニューマン)が、デンヴァー・シスコ間を15時間で行けるかどうかの賭けに応じ、平均時速200キロのスピードで車を飛ばす。彼を捕まえんとする警察と、その無線を傍受してラジオで彼に警告を送る盲目のDJ(クリーヴォン・リトル)。そして、ついにコワルスキーがカリフォルニア州に入ったとき…。

家の金魚の名前はコワルスキー。そのぐらい好きで過去に何十回も観てる作品。

舞台は1970年代のアメリカ。ベトナム戦争への批判が強まっていた頃。
そんな体制の代表ともいえる警察への反発と逃走(闘争)。
コワルスキーは反体制の象徴となってダッジ・チャレンジャーを駆り、ただただ突っ走る。
確固たる目的のないまま走り続け、小さくニヤリと笑いエンディング(消失点)を迎える。
 

昨今の「草食系」と呼ばれる若者は、昔の若者に比べ、夜な夜な、握り締めて飛ばすものも消失点の矛先も変わってしまったような気がする。
健全ではあるが、決してそれが健全なことではないと思うのは、単に私が年をとったせいなのかもしれない。
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