儚い青色

彼が二度愛したS [DVD]

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ストーリー
NYの孤独な会計士ジョナサン(ユアン・マクレガー)はある日弁護士のワイアット(ヒュー・ジャックマン)と出会い、NYエグゼクティブのためだけに存在する秘密の会員制セックス倶楽部を知る。ジョナサンは美しく優雅な女たちとの一夜限りの情事にハマっていく。そんなある日、以前地下鉄で一目惚れしたミステリアスな女性“S”(ミシェル・ウィリアムズ)が倶楽部の相手としてやってきて、本気の恋に落ちていく。しかし彼女は突然ホテルから姿を消し、ベッドには血痕が残っていた。それがワイアットが仕掛けた罠の始まりだった―。

妖艶で誘惑的な雰囲気の予告に正直騙された作品。ウルヴァリン X-MAN(ヒュー・ジャックマン)が悪役だったので、最後まで意外性を期待していたが、今ひとつ盛り上がりに欠ける大掛かりな美人局な話。
「愛の嵐」で、ナチ帽を被り上半身裸に黒のサスペンダー姿で踊る姿が印象的だったシャーロット・ランプリングウォール街の美女という ちょい役での登場を目にして、思い出したようにあらためて観た作品。そしてじつはコチラが本命。

まぼろし<初回限定パッケージ仕様> [DVD]

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ストーリー
夫と南仏の海へヴァカンスにやってきたマリー。だが彼女が浜辺で寝てる間に、夫が蒸発してしまう。ひとり残されたマリーは・・・。

25年間連添った夫(ジャン)を失ってしまったことを受け入れることが出来ず、妻(マリー)は精神の均等を保つようにジャンの "まぼろし" と生活を続けるが、色々な事実と直面し、最終的に目の前の死という現実を受け入れる。
1

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ジャンへの想いを捨てきれないマリーを不憫に思い、友人が紹介した男(ヴァンサン)と情事にまでいたるが、ことの最中に「あなたは『軽すぎる』」といきなり笑い出しヴァンサンは狼狽してしまう。たしかにジャンは巨躯であるが、この『軽すぎる』は物理的なことを指しているわけではなく、映画のキャッチフレーズの『あなたは万物となってわたしに満ちる』が意味する『(満ちた)重さ』に対する『(満ちていない)軽さ』なのだと思った。ヴァンサンとの関係を不倫だと線引きするが、関係をハッキリしたいヴァンサンに「僕を何だと思っている、彼のことは忘れろ」と詰め寄られると、「あなたは『重み』がないの」と言い放って一方的に関係を終わらせてしまう。
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偶然ジャンが鬱病で薬を服用していた事を知り、義母宅を訪ねると義母は息子が鬱状態だったことに気づいていたと告げられる。ジャンが鬱病であることに気づかない時点で夫婦関係はある意味破綻していて、マリーが思っている夫婦関係は "まぼろし" だったのではないかと思った。
さらに「ただ単に失踪しただけ。人生に飽きたのか、あなたに飽き飽きしたか、新しい人生に出発したのだ」と言われたことをきっかけに、マリーは警察署の死体安置所で現実を受け入れることを決意する。
溺死体は、義母とのDNA鑑定と歯型から90%の確立でジャンであると説明を受ける。死体安置所で溺死体を確認した後、遺品の腕時計を見せられるが "ジャンのしていた時計ではない、私が送ったものだから間違いない" と頑なに否定する。
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現場である海岸を訪れジャンの死を受け入れたかのように嗚咽。そして "まぼろし" のジャンを見かけて走り出すマリー。ジャンの死は鬱病による自殺と言う事実、ジャンがこの世に存在しない現実を真正面から受け入れ、行き場を失ったマリーの感情を表現した(と解釈した)ラスト。
ジャンが消息を絶ってしまった海岸の波が印象的だった。ちなみに夢診断では "「波」=情緒。感情。喜び。不安。性的欲望。憤り。衝動。時代の波。人生の波。" などを象徴するとのこと。
2000年の作品なので、撮影当時主演のシャーロット・ランプリングは56歳ということになる。年を重ねた皺のひとつひとつを取っても魅力的だし、ヴァンサンとのベットシーンでは、これみよがしにヌードを披露するあたりに脱帽。死体安置所でジャンの死体を確認するシーンで、目と頭皮の動きだけ(口はマスクをしている)で心情を表現した演技は凄いのひとこと。

この流れで日本男性版的なの観る予定。たぶん。
今度は愛妻家【通常版】[DVD]