街は今日も雨さ

すっかり沈滞した重苦しい空を眺めていると、知らず知らずのうちに口ずさんでいる唄があります。
SION というアーティストの「街は今日も雨さ」という曲です。
SIONの曲は、歳を重ねて忘れかけている部分(あたり)を気圧変化に伴う鈍痛みたいに刺激してくれます。

街は 今日も 雨さ
びしょ濡れの 心の向こうに
標識が かすんでみえる
街は 今日も雨さ

十六の夜 家を出た
おふくろは 行くなと泣いた
知らない街で ポリバケツをかぶって
それでも笑っていたさ
怖いものなんて何も知らなかったから

とりあえずは 食うことさ
新聞の広告で 仕事を拾った
朝から晩まで 指紋がすりきれるほど
皿を洗いつづけて たったの三千二百円

つぶれかけた スナックの裏にある
かび臭い部屋 俺のねぐら
なにが都会の 気ままな暮らしだ
それどこじゃねぇ まったくそれどこじゃねぇ

日曜日の 昼間ともなれば
気が狂うほどの 忙しさで
俺は飯を 食うひまもなく
立ったまま 残飯をつついた

そんな くり返しの 毎日が
やたら俺を 弱気にさせた
立ってるだけで やっと この街で
いったい なにがつかめるんだい

久しぶりに おふくろに 電話をかける
雨降る街の 赤茶けた公衆電話から
おふくろは 静かな声で たったひと言
生きてなさい そう言った

街は 今日も 雨さ
びしょ濡れの 心の向こうに
標識が かすんでみえる
街は 今日も雨さ

今日が 昨日の くりかえしでも
明日が 今日の くりかえしでも


福山雅治がパーソナリティを勤める「魂のラジオ」というラジオ番組で歌ったカバー。