今週のお題は「私の小さなこだわり」です

一昨昨日、今週末に車検満了となる車で、近所のカー用品店に向かった。
カウンターで対応したのが、偶然にも同級生だったため、あの日にこうしていたら、こうなってこうだったとか話してたら、なんだかお互いの自慢話みたいになってきたので「車検をお願いしたいのだが、どうだろうか」と何の脈略も無く切り出した。
「いま?」
「いまというわけでもないが、結構逼迫しているのだが」
「震災の影響で5月11日まで大丈夫だよ」
「おかげでここ数日の溜飲を下げることが出来たよ」と言った後、文化庁が発表した平成19年度「国語に関する世論調査」で間違った言い方「溜飲を晴らす」を使う人が26.1パーセントという結果を、ふと思い出した。
「車検をスムーズに通すためには、車検見積りが必要で、それには事前に車の状態を確認させてもらうことになるけど...」
「いいよ、してよ、いま?」
「...で、見積もりには、事前に予約が必要なんだけど...」

一昨日、車検の見積もりをする車で、あらためて近所のカー用品店に向かった。
カウンターに同級生の姿はなく、爬虫類顔したやせぎすな女性が対応してくれた。
車検の見積もりの予約票みたいな紙を差し出す。
「車検のお見積もりですね...」
「一昨昨日予約した者です」
「一時間ぐらいかかりますけど...」

奥のトイレで用を済まして、左向かいにある待合室に入る。入ってすぐの左側は漫画コミックを貼ったような壁があった。本棚をざっと見渡すと、一定方向に偏りがある漫画ばかりが並んでいた。「ビー・バップ・ハイスクール」「シャコタン・ブギ」「湾岸ミッドナイト」「湘南爆走族」「ろくでなしBLUES」、「バリバリ伝説」「頭文字D」。「クローズ」や「特攻の拓」あたりが無いところにある種の拘りと、正面にある大きなガラスの外の整備工場で、あくせくと動き回るオレンジ色のつなぎを着た従業員の過去を垣間見た気がした。

とりあえず、シエロシ羊介くんが主人公の漫画を読むことにする。
横須賀ハッスルジェット編は3巻?4巻?と記憶をたどって手を伸ばす。むぅぅぅ。1巻から並んでいるのだが、6、7巻あたりから怪しくなり、10巻以降であからさまに順不同になっている。むぅぅぅ。気づくと我慢できずに揃え直してしまっていた。

一息ついて、あらためて目当ての数巻を手にして、右手奥にある椅子に向かおうとしたら、下の方に「ろくでなしBLUES」の8巻から12巻までが目に入る。むぅぅぅ。ちょっと気になって、背丈をちょっと越えるほどの本棚をざっと見渡す。ちょうど対角線上、向かって左上あたりに1巻から7巻を発見した。むぅぅぅ。とりあえず、8巻以降ある場所に移動させようと思ったのだけれど、1巻から7巻を収納できるスペースは当然あるわけがない。むぅぅぅ。8巻以降が置いてある隣に「プレイボール(ちばあきお)」が、中途半端に歯抜けした状態で10冊ほど置いてあった。熱血不良青春漫画の隣に、熱血野球青春漫画をこのまま放置することも不憫な気がしたので、迷うことなく、フリッツ・フォン・エリックよろしくアイアンクローで移動させて、無事に「ろくでなしBLUES」も揃え直した。

ふと、しゃがみこんだ先で、縦に並ぶ本の列と本棚の仕切りの隙間で横になって、そっぽを向いている本を目にする。むぅぅぅ。迷子の本「ロンタイBABY」2巻を手にして立ち上がり、むぅぅぅと仲間を探し出して無事に送り届ける。

一歩下がってあらためて本棚全体を見てみたら、余計むぅぅぅとなってしまって、結局、見積もり完了のアナウンスを聞くまで本棚の整理をしていたことに気づいた。むぅぅぅ。

提示された見積書に「▲本棚整理費用」の記載は、当然見当たらない。