便利とはつまらぬもの

優に10万キロを越す走行距離を誇る社用車が、エコカー補助金終了の噂が流れ始めた微妙な時期に車検切れを迎えることになった。色々と調整し検討した結果、廃車することで話をまとめるも、鶴(ボス)の一声であっさり覆された。社会貢献の一環として、その時期に世間を騒がせていた車を選択することになった。ディーラーに納車時期を確認したところ、米国でのリコールで大変だったわりには 2ケ月ぐらい要するとの事。エコカー補助金を期待しない方向で、急ぐことなく年内納車ぐらいで考えることにした。

エコカー補助金が明日々終了するタイミングでディーラーから相談を受ける。10万キロ超を走破した13年選手を下取りした条件で再見積したいとの事だった。補助金終了後、かなり厳しい販売状況が見て取れるほどの再見積もり提示額、それは破格値だった。

先週末の まず、マットを敷き詰めた後、 そぉーと納車時間にあわせて出社し、簡単な説明を受けた後、鍵を受け取り、給油という名の試乗インプレッションのためにそそくさと座席をあわせながら、轢かれてるまでは轢かれたこと自体に気づかないでだろう、その静寂なエンジンに鞭を入れる。大半の操作はボタンでパーキングもレバー操作ではなくボタン。慣れないと十分に危険。そんなボタンやスイッチに囲まれた空間は、さながらエンタープライズ号な感じ。インパネまわりの樹脂成形部品は表面造形まで凝った造りで高級感があるが、無機質でシンプルな部品との組み合わせバランスが悪いところが目立ちちょっと残念。モードを切り替え、アクセルを踏み込むとカタログ数値以上の気持ちのいい走りをする。エンジン音が無いに等しいので微かな風切り音、路面のギャップを拾う音による不思議な体感的スピード感覚。
総合的に十分に「いい車」だ。レオナルド・ディカプリオが大人買いしてしまうことは理解できる。
ただ、私にとってはいたれに尽くしのいい車すぎて、「頭の中の宝くじが当たったらリスト」は更新されなかった。ちなみ、このエンジンとほぼ同じ構造で、初のハイブリットエンジン「アクティブハイブリットX6」を搭載したモデルがBMW X6に存在する。60km/hまではEV走行可能とのこと。
o
車に限らず、多少不便に感じることが色々と楽しめる気がする。逆に不便と感じたら、それを楽しむぐらいの余裕を持ちたい。要は楽しみ方の問題ということなのだが。