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摂取アルコールと麻酔効果

10年ほど前までは車が好きで主に外国車ばかり乗り継いだ。

自動車免許を取得してから、約10年間は年毎に車を替えている計算が成り立つかもしれないほど。
実際にはそれ以上かもしれないし、それは当時少なからず関係を持っていた女性の数のほうが上回っていたかもしれない。

そんな 20歳の頃に「SAAB(サーブ)」という、スウェーデン出身の彼女とお付き合いすることになった。

高校時代にアルバイトしていた洋服店の店長が、突然自身が乗っていたSAABを格安で譲ってくれた。
名義変更を待たずに店を畳んで行方をくらましたことから、結果的にその訳を知ることになった。

SAAB (サーブ) は、スウェーデンの航空機メーカーである。社名は Svenska Aeroplan AB(スウェーデン航空機会社)に由来する。
かつては自動車も製造していたが、自動車部門は現在はゼネラルモーターズの100%子会社のサーブ・オートモービルとなっている。

http://ja.wikipedia.org/wiki/SAAB

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手にした時点で3年落ちだった。
当時の写真は残念ながら無いが、上段のホイールを履いていて、中段の形をしていて、下段の色をしていた。更にマイナーチェンジしていたモデルで、申し訳なさそうな控えめなフロントスポイラーとリアウィングが付いていた。(めんどくさい(笑))

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排気ガスを利用する過給器がひとつ奢られていて、エンジンがその域に達すると彼女はソプラノ音域を奏でながら、運転手の頭を後方に車体を前方に、馳浩のジャイアントスイングの勢いで放り出だしてくれた。

エンジンスターターは、フロアATギアボックス後方のコソールボックスにあって、ウィンドー開閉スイッチやドアロックスイッチも集約していて気に入っていた箇所(現行もだと思うけど)。

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それとエンジンフードの開き方も独自で、運転席側から前方へ開くのだが、一旦前方へ50cm程スライドさせてから、バコッてな感じで開く方式だった。始めてそれを見る人は、とりあえず「おぉっ」っと感嘆の声をあげてしまう程に無駄で大げさな開き方だった。

前にメルセデスの500SLを知人から借り出した時、わざわざ信号待ちで電動でオープンさせてみるような感じで、ガソリンスタンドで給油中に、さもエンジンルームを点検する振りして無駄で大げさに開いてスネ男な気分を味わっていた。

恥ずかしい過去の出来事について、定期的に棚卸している訳では無いので正式な数は把握していないが、これは確実にその一つであると断言できる事柄だ。

そんな蜜月な日々を過ごしていた彼女と突然に別離した。
私の一方的なわがままな事情で、彼女をえらく傷つけてしまったことが原因だ。それは物理的なもので、取り返しのつかないこと。

その日は、初冬だと言うのに夏の強い日差しのような不自然な白い光が、眩しくて目を覚ました。
そこには女性看護師さんが二人して顔を覗き込んでいる。その顔は共に逆さまだった。
額を人工的に冷たいものが忙しく右往左往していた。
「結構な量が入ってる場合は麻酔しても効果がないから覚悟してください」と言い放って、むんずと額と顎を手で押さえた。
次の瞬間、額一部分の皮下を少なくとも熱い激痛が5往復はした。

それは20数年前の11月3日の出来事。毎年必ず思い出すことの一つ。
今も街でSABB車とすれ違うたびに心の中で密かに詫びてたりしている。